キャリア開発セミナー23:ポジティブ心理学的な考え方

 ポジティブ心理学は、1998年当時、米国心理学会会長であったペンシルベニア大学心理学部教授のマーティン・E・P・セリグマン博士によって発議、創設されました。ポジティブ心理学とは、私たち一人ひとりの人生や、私たちの属する組織や社会のあり方が、本来あるべき正しい方向に向かう状態に注目し、そのような状態を構成する諸要素について科学的に検証・実証を試みる心理学の一領域である、と定義されます。(国際ポジティブ心理学会HPより抜粋)

 心理学、特に臨床心理学は、歴史的にマイナスの状態にある人を通常の状態に戻すための研究・実践を主に続けてきましたが、マイナス状態の人だけが対象ではなく、「通常の状態にある人がより幸せになるためには」という視点でも捉えるべきと考えられたのがポジティブ心理学だと言われています。

 ポジティブ心理学は「幸せ」を追求する学問なのですが、「幸せ」とは、瞬間的な喜びであるhappyの状態のことももちろんですが、「身体的、精神的、社会的に、良好な状態を持続的に保ちながら人生を歩めること」も幸せであるといえます。後者を「well-being的幸せ」といいます。この2種類のうち、ポジティブ心理学では後者の幸せを追求しています。

 Well-beingを高めるための5つの要素を紹介します。

これは「PERMAモデル」と呼ばれるもので、マーチン・セリグマン博士が提唱したモデルです。

• P=Positive Emotion(ポジティブ感情)

• E=Engagement(エンゲージメント、またはフロー状態を生み出す活動への従事)

• R=Relationship(関係性)

• M=Meaning and Purpose(人生の意味や仕事の意義、及び目的の追求)

• A=Achievement(何かを成し遂げること。ただし「達成のための達成」をも含むため、必ずしも社会的成功は伴わなくてもよい)

(国際ポジティブ心理学会HPより抜粋)

 それぞれの頭文字をつなげてPERMAです。私はこの5つの要素の中で、Mが最も大切な要素であると考えています。人は、その思いや言動に意義を感じるとき、特に自分の存在が他者のために役立っていると感じるときに喜びを感じるからです。(続く)

タラントディスカバリーラボ

人それぞれの「心の利き手」に沿ったキャリア支援を目指します

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