認知の歪み

ヴントが1879年にライプチッヒ大学にて心理実験室を開設したのが、科学としての心理学の始まりだと言われています。

ヴントは、心理学の対象は直接経験であるとして、経験を内省する「意識心理学」を研究の基本としました。

その後、フロイトやユングに代表されるような深層心理をテーマとする「精神分析学」や、目に見えないものを極力排除して、目に見える行動を重視して心のあり方を研究する「行動主義心理学」が隆盛となりましたが、現在では「認知心理学」が主流となっています。

「認知」とは、内外の事象を知ることであり、知覚や記憶、思考といった心的機能の複合であり、認知論は「事象をどう捉えるか、考えるか」という認知の仕方が、環境への適応・不適応をもたらすと考えます。

誰でも認知の癖がありますが、陥りやすい認知の歪みとして、A.ベックは以下の7点を掲げています。


1.恣意的推論 : 明確な根拠がないにもかかわらず、独断的に推測して判断してしまうこと。例えば、連絡が無いと友人に嫌われていると思ってしまうこと。

2.二者択一的思考 : 良いか悪いか、白か黒かといった両極端を考えてしまい、曖昧さや耐性が低いこと。例えば、友人への感情が固定的で、好きか嫌いかで考えてしまうこと。

3.選択的抽出 : 自分が関心のある事柄のみに注意を払い、推論してしまうこと。 例えば、嫌われていると心配だと、その根拠となる事柄のみしか考えないこと。

4.過大視と過小視 : 自分の関心や意見に合った出来事は過大評価し、逆に一致しない出来事は過小評価してしまうこと。例えば、友人に嫌われていると思うと、褒められたことなど忘れてしまい、客観視できなくなること。

5.過度の一般化 : 一時的なことと考えずに永続的なことと捉えたり、ちょっとしたことを一般化してしまうこと。例えば、わずかな失敗から人生を否定してしまうこと。

6.自己関連付け : 自分と関係ないことでも、何でも自分と関係づけてしまうこと。例えば、友人が第三者への嫌悪感を話しているにもかかわらず、自分も嫌われていると判断してしまうこと。

7.情緒的理由づけ : 恣意的推論とも重なるが、判断が感情に強く左右されてしまうこと。

タラントディスカバリーラボ

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