キャリア開発セミナー06:良い習慣は才能を超える

 先ほどの自分らしいキャリアを考えていくときの基軸の話に戻ります。

 キャリアのオーナーシップを自分に取り戻すこと、そのために学びを継続すること、そしてアイデンティティの再確立を意識しながら歩むことの大切さについて提示させていただきましたが、その道程ではどのような姿勢が好ましいか、申し述べたいと思います。

 ある例題を設定します。いま現在、100という能力を持っているAさん、Bさん、Cさんがいるとします。Aさんは毎日0.1%ずつ、Bさんは毎日0.01ずつ成長しますが、Cさんは成長しないと仮定して、成長の進展を数字で確かめてみたいと思います。

 この場合、次の日のAさんの能力は100.1に、Bさんの能力は100.01に、Cさんは変わらず100となることはお分かりのことと思います。これを毎日繰り返していくと、1年後、3年後、10年後にはどのようになるのか・・・10年後の数字がこれだけ大きな差となって表れることは驚きですね。

 このことは、たとえ日々の成長の差は僅かであっても、日々積み重ねることによって大きな差が生まれることを意味しています。生まれ持った才能はどうしても変えることできません。でもその才能ですら、日々の努力で超えることも可能であるのです。

 そして「努力」に対するスタンスも大切ですね。一般的には「努力」は辛くてしんどいもの、というのが定番ですが、習慣になるとそうでもなかったりします。物事を「形から入る」という言い方をしますが、ルーチンになっているものは作業前には気が重たかったりするものの、作業しはじめると段々とエンジンがかかってきます。これは「作業興奮」というもので、人間の脳の一つの習性です。

 また、人によっては努力を努力と思わないようなタイプの人間もいます。だれでも自分の好きな趣味やスポーツについては、時間を忘れるくらいに軽く動くことができます。それが結構辛いことでも、辛いと感じない。すなわち「努力の娯楽化」という世界です。私もバスケットボールの練習をするときには、同じような現象が起こっています。コートの上で走り回りますから身体は辛いはずなのに、気持ちの上では楽しんでいる自分を感じます。

 同じ努力をしていても、それを辛いと思いながらやっている人と、平気でできる人、楽しみながらできる人では、最終的な成果は大きく違ってくるでしょう。ですから、自分の嫌いなこと、不得手と思っていることよりは、自分がやりたい、好きと思っていることを伸ばす方が、断然成果に繋がりやすいわけです。

 いずれにしても、「良い習慣は才能を超える」ということを意識して、日々自分自身の成長に向き合うスタンスが、自分らしいキャリアを創っていくときの大切な要素であると思います。(続く)

タラントディスカバリーラボ

人それぞれの「心の利き手」に沿ったキャリア支援を目指します

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